潤滑が厳しい環境で
軸受の早期損傷を防ぐ
Trans-axle bearings for poor lubrication
希薄潤滑対応軸受
EV化、高速回転化による
新しい課題「貧潤滑」への対応
EV化にともない、ガソリン車の「燃費」にあたる「電費」を改善するため、さらなる効率化が求められています。
電費を改善するため、軸受はより高負荷・高回転への対応が求められ、さらに潤滑油の低粘度化や潤滑油の供給量の減少など、軸受内の潤滑が厳しくなる「貧潤滑環境」では様々な問題が発生し、軸受の早期損傷が起こりやすくなります。
【軸受の潤滑環境が悪くなると、内部で発生する問題】
・保持器との摩擦が大きくなり、鋼球に損傷
・鋼球と転動面の摩擦が大きくなり、転動面も徐々に損傷
・異物の噛みこみ
・軸受内部の温度上昇
これらにより少しずつ損傷が進むことで、軸受全体の早期損傷につながります。
NACHIは、貧潤滑環境で起こる一つ一つの問題に対して適切な対策をとり、貧潤滑環境でも早期損傷を防止する軸受を開発しました。
POINT
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POINT 1
保持器の最適化
~高速回転に対応した、安定した保持器の開発~貧潤滑環境対応軸受には、高速回転に対応した高剛性の保持器を採用
最適設計で、高速回転でも安定した状態で回転を維持します。
・CAE解析の活用で、形状を最適化し、信頼性を向上させました
・保持器の形状を見直すだけでなく、剛性の高い材料を適用し、保持器そのものの変形を抑制しました
高精度な保持器を用い、回転を安定させることによって、鋼球や軌道輪の損傷を防ぎます。 -
POINT 2
鋼球と軌道輪の強化
~独自開発の長寿命材料で、もっと損傷に強く~軸受の早期損傷の原因となるのは、貧潤滑環境で生じやすい、鋼球の損傷です。傷つきにくい、損傷しにくい強い鋼球、軌道輪を実現するために、NACHIはマテリアル事業部と共同で開発した、自社オリジナルの長寿命材料を採用しました。
・材料成分の改良により、耐久性・耐熱性・対摩耗性を高めました。
・材料だけでなく、熱処理工程も見直し、特種熱処理を施すことで、優れた長寿命性を実現。
鋼球と軌道輪を強化し、潤滑が厳しい環境でも面性状の劣化を抑制します。 -
POINT 3
軌道輪形状の最適化
保持器の改良、材料の強化だけでなく、軌道輪形状もさまざまな解析をもとに検討し、損傷を抑制する形状に最適化しました。